研究室メンバー募集
名古屋大学における西洋古代哲学研究を一緒に盛り上げていってくれるメンバー(学生・ポスドク)を募集しています。(哲学研究室全体では、西洋古代哲学以外を専攻するメンバーも募集しています。)
少しでも興味のある方は、いつでも私まで連絡して下さい。連絡のとれるメールアドレスは、私のresearchmapページに公開しています。
演習について
こちらの様子を知りたい方は、まず一度演習に参加してみてください。Microsoft Teamsによる遠隔参加も可能です。今年度は以下の作品を読んでいます(リンク先より詳細が見れます)。
2026年度春学期:プラトン『テアイテトス』第二部を読む
2026年度秋学期:ディオゲネス・ラエルティオス『哲学者列伝』第7巻を読む
過去の演習で取り上げたテキスト
2025年:セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義哲学の概要』第一巻
2025年:エピクロス『ヘロドトスへの手紙』
2024年:プラトン『テアイテトス』第一部
2023年:アリストテレス『魂について』第二巻
2023年:プラトン『ヒッピアス(大)』
以下では、1.学部生、2.大学院生、3.ポスドク、それぞれの場合における本研究室への加入方法および西洋古代哲学を専攻する上での教育・活動方針について説明します。名古屋大学の哲学研究室は、西洋古代以外の哲学を専攻する人も多くおり、哲学全体としての教育・活動方針も当然ありますが、ここでは割愛します。
1.学部生
学部生から哲学研究室に所属するためには名古屋大学の学生である必要があります。ただし、他大学の方も3年次より名古屋大学へ編入することが可能です。在籍する大学でギリシア語や西洋古代哲学を学ぶことが困難な場合は、まずこちらの選択肢を考えてみるのがよいでしょう。編入学入試についてはこちらを参照して下さい。現状では、入試科目は外国語(主に英語)と小論文のみです(口述試験もありますが)。
西洋古代哲学の研究を本格的に開始するためには、何よりもまず古典ギリシア語を習得することが必要です。私自身は名古屋大学にて初級文法の授業を担当していませんが、西洋古典学研究室の先生方による授業を履修することで学ぶことができます。
私の演習では、初級文法の知識を基に、古代哲学文献の読み方(専門用語や特徴的な文体、辞書や注釈類の使い方、異読の検討、参考文献の探し方など)を基本からしっかりと学びます。ただし、読解する上での文法事項も丁寧に解説しますから、初学者の人もあまり心配する必要はありません。
卒業論文の作成は個々人の興味関心に従って、自由にテーマを設定できます。とはいえ、最初は自分で研究テーマを設定することはなかなか困難ですので、演習やその他の授業で哲学的に重要な問題を数多く紹介しますし、個人的な相談もいつでも受け付けます。また、哲学研究室では、古代以外のメンバーも参加する全体セミナーがあり、そこでの発表から研究の方向性を広げることもできます。
2.大学院生(博士前期・後期課程)
入学・指導方針
大学院生として哲学研究室に所属するためには、大学院入試に合格する必要があります。大学院入試の詳細はこちらを確認してください。ある程度西洋古代哲学を学んでいて他大学から本研究室に来ることを希望する場合は、こちらの方法を目指して下さい。
ただし、西洋古代哲学専攻希望で古典ギリシア語をまだ学んでいない人は、2年間で博士前期課程を修了することが困難ですので、聴講生もしくは科目等履修生になるなどして、少なくとも1年間は古典ギリシア語を集中して学んだ上で院試に挑戦するのがよいでしょう。聴講生・科目等履修生の出願方法についてはこちらを確認して下さい。いずれにせよ、外部からの入学希望者は私まで連絡して下さい。
大学院生についても、学部生と同様、自由にテーマを選択した上で修士・博士論文を完成することが最終目標です。博士前期課程については、演習を中心とする授業にも出席することで修士論文以外のトピックも学び、研究の幅を広げることも重要です。演習はプラトン・アリストテレスが中心になりますが、それ以外のテキストも幅広く取り上げます。
修士・博士論文を作成するにあたっては、論考の質と量を徐々に上げていけるよう、定期的な個人面談を行います。毎回の面談のためにまとまった原稿の提出が必要ですので、要求される負荷は多少大きくなりますが、その分研究者としての成長を直に感じてもらえる時間になることと思います。博士後期課程の学生も、個人面談に加え、私の演習に出席してテキストの読解と議論を深めるとともに、哲学研究室の教員全員と学部4年生以上の学生が全員参加する哲学セミナーにて、古代以外の学生に向けた発表や質疑応答の経験を積むことが求められます。
将来研究者を目指す方にとっては、海外の大学への留学も重要な経験となります(もちろん必須ではありませんが)。長期・短期を問わず、海外留学をするにあたって、海外の研究者の紹介や推薦状の準備などできる限りの範囲で協力を行います。また、英語による論文執筆や研究発表の方法も指導できますから、希望者は気軽に相談して下さい。
経済的支援・奨学金
博士前期課程の学生にとっては、残念ながら、経済的支援の選択肢はあまり多くありません。しかし、日本学生支援機構による第一種奨学金の貸与を受けた方には、「特に優れた業績による返還免除」という制度があり、修了後に貸与額の半額もしくは全額免除となる可能性があります。詳しくはこちらを参照して下さい。近年では、全貸与者のほぼ3割、大学から推薦を受けることができた貸与者にいたってはほぼ全員が少なくとも半額免除を受けられているようです。選ばれる可能性は決して少なくありませんから、チャレンジしてみる価値は十分あるでしょう。また、授業料免除やその他民間の奨学金についてはこちらを参照して下さい。
博士後期課程に進学することを希望される学生は、日本学術振興会の特別研究員(DC)として採用されることが、在学中の経済的負担軽減だけでなく今後のキャリア形成の面でも非常に重要です。申請するにあたって、研究テーマの設定の仕方や、実際の申請書の書き方なども懇切丁寧に指導しますので、遅くとも修士1年目終わりの春休みには相談を始めることができるよう、私まで連絡して下さい。学外から博士後期課程に進学を希望される方も大歓迎ですから、なるべく早く連絡をいただければ対応できます。
なお、名古屋大学では、博士後期課程に進学する人向けに独自の奨学金制度も整備しています。もちろん、上記の特別研究員に採用されるに越したことはないのですが、たとえ不採用になったとしても、少なくない確率で何らかの経済的支援を受けることが可能です。応募は博士前期課程の1年目から始まるので、こちらも早めにご相談下さい(博士後期課程に外部から入学される方も応募可能です)。
3.ポスドク
外部からポスドクとして本研究室に所属するためには、基本的に、日本学術振興会の特別研究員(PD)に採用される必要があります。私を受入研究者として申請する場合は、もちろん研究テーマについて互いの親近性があることが望ましいのですが、話をしてみてなんらかのつながりが見つかることも往々にしてありますので、西洋古代哲学に少しでも関わりのある研究であれば一度気軽に連絡してみて下さい。申請書作成にあたって、可能な限りの協力も行います。
ポスドクの方とは、大学院生のように指導したりされたりする関係にあるわけではありませんが、定期的な研究に関するディスカッションを通じて、互いの知見を共有し合うような協力関係を築いていければと思っています。トピックや議論の進展によっては、将来的な共同研究へ発展させることが可能かもしれません。
また、非常勤講師などの教育機会の斡旋や海外での研究滞在に関するアドバイスなど、今後のキャリアを築いていく上での協力も行うつもりです。
古代哲学研究ネットワーク
「古代哲学研究ネットワーク」という組織を運営し、若手を中心とする国内の古代哲学研究者が互いに交流する機会を増やす試みを行っています。主な活動は以下の通りです。
- サマースクール:卒論・修論で西洋古代哲学に取り組む学生を対象に、研究構想の共有やフィードバック、参加者同士の交流を目的としたイベントを毎年夏に開催しています。所属大学に専門教員や仲間がいない学生にとって、貴重な学びと出会いの場となっています。
- 東アジア国際ワークショップ:毎年春に、東アジアの古代哲学研究者を招いた国際ワークショップを開催しています。
- キャリアサポート:学生向けのキャリアサポートイベントも実施し、研究者としてのキャリア形成を支援しています。
- 研究分科会・ワークショップ:年1度のメンバーによるワークショップや、それぞれの科研をテーマにした勉強分科会など、今後共同でより大きな研究課題に取り組んで行く下地を作ることを目的とした様々な活動をしています。
人的ネットワークを構築していく上でもよいきっかけとなるでしょう。
ヒューマニテクスト(Humanitext Antiqua)プロジェクトへの参加について
近年は西洋古典文献のデジタルアーカイブと大規模言語モデル(LLM)を組み合わせた「ヒューマニテクスト」プロジェクトを推進しています。
- 古代ギリシア語・ラテン語の原典から再整備したテクストデータベースを用いて、GeminiやGPTなどの最新のLLMが「偽情報生成(Hallucination)」を最大限回避しながら回答できる仕組みを整備しています。
- 文献学的に信頼できる情報を基盤とし、原典テクストの引用や典拠情報を明示した高度な解析を実現しようとしているのが特徴です。
- 今後は、Perseus Digital Library等に含まれる大規模な原典データの連携に加え、分野横断的な二次文献との連携も強化し、より専門家に近いレベルの解釈を生成できるシステムを目指しています。
このプロジェクトでは、以下のような方を学部生・大学院生・ポスドク問わず随時募集しています。
- 大規模言語モデルの活用に興味のある方
- デジタル人文学(Digital Humanities)やRAG(Retrieval-Augmented Generation)の技術に関心のある方
- 西洋古代哲学や古典・哲学文献のAI解析に携わりたい方
哲学や西洋古典を専門とする方はもちろん、情報学・計算機科学などのバックグラウンドを持つ方も歓迎します。自然言語処理、知識グラフ、RAGなどの技術を人文学の実データに応用する実践的な研究経験を積むことができます。
クラウド環境でのデータ管理、テクストのベクトル化、RAGの仕組み構築など、開発や研究に関わるさまざまな業務を経験できます。大学院生・ポスドクの方であれば、ご自身の研究テーマに合わせてプロジェクトを活用することも可能です。
プロジェクトメンバーは、このプロジェクトを通じて「AI人文学」という新しい領域を切り開きたいと考えています。西洋古典のテクスト解析に限らず、ヒューマニテクストで培った技術やノウハウは他の人文学分野に波及しうるものであり、研究の最先端を走る絶好の機会となるでしょう。
プロジェクトの詳細についてはヒューマニテクスト公式サイトをご覧いただくか、ご興味のある方は直接お問い合わせください。